一人一人が 自立、自律した社会構築を目指して

同窓会会長
神山 敬章(高校22回生)

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 同窓会員の皆様におかれましては日頃より同窓会活動に対しまして多大なるご理解、ご助力を賜り厚く御礼申し上げます。又、80周年事業の協賛金も多くの会員からお寄せいただき重ねて御礼申し上げます。

 さて、同窓会会長に就任して以来この3年間は、一向に 新型コロナウィルス感染症の収束が見えず、幾たびかの緊急事態宣言や蔓延防止重点措置による自粛生活を余儀なくされ、我同窓会も高校の学校運営と同様縮小せざるをえない状況が続いております。

 幹事会も対面開催は数回のみで後はリモートによる会議が毎月行われています。昨年の80周年祝賀会も中止、中西進先生の特別記念公演も延期のままであります。苦渋の決断の中必要最低限の活動を行っておりますが、今年度も6月の中野サンプラザでの総会、講演会、懇親会も対面では行わず昨年同様書面開催といたしました。会員の皆様におかれましては現状ご賢察いただきご理解いただきたく存じます。武高祭や校歌祭への参加も状況が読めず未定となっております。日常的な同窓会活動ができるようコロナ禍収束を祈るばかりです。

 話は変わりますが、地理学者、文化人類学者でKJ法発案者の川喜田二郎先生の言葉に「共通課題への挑戦こそ人々を結ぶものである。そうして解決という産物まで生み出してこそ、その主人公もまた創造されるのである。その達成感こそ人を育てるものである。」という名言があります。このことは、世界情勢が緊迫化する中、コロナオミクロンが衰えを知らない不安な日常世界が続く現代社会において、大学で教鞭をとる一人として若者たちに未来社会について漠たる不安を感じさせてしまっていることを実感しています。コロナ禍にあって、若者たちの自己肯定感のなさや無力感は社会や行政や教育者たちがきちんとなされていないというより、他者理解や共感することの困難性を我々大人が作ってしまったからではないでしょうか。川喜田先生は、人は自己実現の中で現実と向き合い組織の中でみな知恵をだし社会貢献も含め生涯学習し続ける必要を説いています。

 武蔵丘同窓会は、様々な現代的課題が山積する中、母校への援助はもとより人財育成も視野に入れた地域づくり、人づ くり、組織づくりといった社会貢献活動に会員一同結束しようではありませんか。併せて年会費、協賛金の納入もよろしくお願いいたします。

 最後に会員皆様には今後とも絶大なるご支援、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げご挨拶といたします。

「守破離」の教え

都立武蔵丘高等学校長
内藤 千春

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 本校に着任して5年目に入ります。今年度もどうぞよろ しくお願い申し上げます。
 さて私は、毎年、入学式と卒業式で生徒に「守破離」(しゅ はり)の話をします。
 「守破離」という言葉は、江戸時代、茶道の教えとして紹介されたのがはじまりと言われていますが、以後、剣道をはじめ、諸武芸の教えとして人々に受け継がれているものです。

 物事を習得する段階を三つに分けて表し、「守」は、「師」 (先生)の教えを忠実に守り、基本の作法・礼法・技法を身 に付ける「学び」の段階、「破」は身に付けた技や形をさらに洗練させ、自己の個性を創造する段階、「離」は「守」「破」 を土台に独自の新しい世界を切り拓き、確立させる段階をいいます。

 この「守破離」の教えは武道ばかりでなく、人間の生き方すべてに通じる大切な教えであり、3年間の高校生活にも当てはめてみることができます。例えば、1年生では「守」を大切にして、先生方の厳格な指導のもと、学校や社会のルールを守り、規律や礼儀を正しく身に付けることが大切です。2年生になったら、「守」で身に付けた力を土台に、 自分の長所、短所を見極め、良いところを伸ばし、弱点は 克服していく工夫をして、自分の殻を打ち破る「破」を大切にします。3年生の「離」では、自分の進むべき道をしっかりと見据えて、自ら道を切り拓いていくことが大切です。もちろん、人によって各段階の長さや重みも違いますが、特に重要なのは第一段階の「守」で、「師」からの教えをいか にしっかりと身に付けるかで、「破」「離」へと続く、その 後の自分の成長の土台の大きさが決まってきます。他者の助言を素直に受け入れ、自分のものにしていくことで、将来「離」に達した時、自己をより一層高めていくことができるのです。

 生徒一人一人が武蔵丘で、人として大きく、そして力強く成長してほしいという願いを込めて新入生に、そして卒業生には、3年間の高校生活で身に付けた様々な力を最大限に発揮して社会に貢献する人となってほしいという願いを込めて、私は「守破離」の話をするのです。

 生徒たちにとって、同窓会の方々は、人生の先を生きる、 身近で、かけがえのない大切な「師」です。同じ「師」として、本校教職員及び保護者の皆様とともに、これからも末永く、 武蔵丘高等学校の生徒の力となっていただければ幸いです。